何のために借金を整理するのか?

[ 2007.10.4 ] 筆者:吉田哲也

債務整理の目的は、「多重債務状態の解消」と「再び多重債務状態に陥らないための対策確立」(生活再建)です。それ以外にはないといっていいでしょう。

たとえば、月収がパート収入のみ6万円の母親がいるとします。母子家庭で子供が二人。生活費としてサラ金からの借金が200万円あって、これを債務整理し たいとのご希望です。利息制限法で計算し直しても約180万円残るようです。6万円の収入しかない人が分割払いすることは絶対に無理なので、選択としては 自己破産しかありません。そして、この方のケースでは、生活費の不足からの借金ですから、破産、免責は問題なく認められるでしょう。

問題はここからです。晴れて免責となったこの方ですが、家族の支出はどう切り詰めても10万円はかかるとのこと。とすると、6万円の収入ではそもそも生活費が足りま せん。そしたら、あと4万円の生活費を捻出するためには、収入を増やすしかありません。ですが、子供二人を抱えている身では夜中にさらにパートに出るとい うことはできませんし、そんなことをしたら健康を害してしまいます。すると、あとは借金するしかない。気軽に貸してくれるサラ金、ヤミ金に行くしかないの です。 つまり、この人は、「破産したはいいけれど、また借金を抱えて法律事務所に戻ってくる。」ことになります。そうならないためには、借金をせずに、 収入を増やすしかありません。具体的には、この人の場合生活保護を受けることになります。

まとめると、この人の債務整理は、「多重債務状態の解消」のために「自己破産の申立」をし、「再び多重債務状態に陥らないための対策確立」のために「生活保護の受給確保」をして、初めて目的が達成されるのです。

借金がなくなっても、家計が「マイナス」の場合には、その「マイナス」を解消する。そうでなければ、債務整理をする意味はないといっていいでしょう。