連帯保証人がついている業者だけ返して、それから借金を整理したいのですが?

筆者:吉田哲也

破産はしなければならないが、あの業者だけは親戚が連帯保証人についており迷惑をかけられないから支払いたいという人がいます。これは、「債権者平等」に反するので、絶対にしてはいけません。「返すなら全員に返す。返せないなら、全員に返さない。」破産の鉄則です。

なお、経済破綻が明らかなのに、この業者にだけこっそり返して破産したとします。その場合には、裁判所に選任された破産管財人が、この業者に対して、「金を返せ。」という請求をすることになります。

また、こうした不誠実なことをする破産者には、免責が許されないことがあります。破産するときには、「こそこそしない」。「親戚にはいい顔をしたい」そ のような気持ちがこれまでも「マイナス」になり、「できないことをできる」と勘違いして、借金が膨れ上がったわけです。それを、また、「いい顔」をするな らば、その人は再び借金を繰り返すでしょう。
破産したのに、また法律事務所に多重債務の相談に来る人がいます。そういう人たちの多くは、前の破産のときに、債権者を隠していた人です。せっかく破産したのに、債権者を隠し支払いを続けたために、また返済のための借金がかさむようになったのです。

連帯保証人の親戚には、潔く頭を下げて謝りましょう。

こうした隠し事は、せっかくの再生のチャンスを無にしかねないのです。