自己破産の迷信

[ 2006.10 ] 筆者:吉田哲也

Q. 夫は、建設会社に勤務していますが、景気が悪く、給料が激減しており、生活費に充てるために、2、3年前から、私名義でクレジット会社やサラ金会社から合計300万円の借金をしています。私は主婦であり、また、夫も借金があるので、これまでどおりの支払いはとうていできません。どうしたらよいのでしょうか?


A. あなたの場合、取引期間が短いので、利息制限法の上限利率で計算をし直しても、200万円以上の借金が残るでしょうね。無職無収入のあなたが200万円以上の借金を返すのは不可能なので、破産の申立てをすることをお勧めします。


Q. 破産はしたくないのです。破産すると、戸籍に載ると聞きました。また、車や通帳がもてなくなるとも聞きました。


A. まず、破産したことが戸籍に載ることはありません。

また、財産ですが、破産したときに所有していた自動車や預貯金、生命保険の返戻金などが、多額になる場合には、換金させられて債権者に対する配当金になったりすることはあります。しかし、そんなに高額でない場合には、継続して車などを保持することが可能な場合もあります。そして、破産手続きが始まった後であれば、新たに、車を持つことも、銀行口座を開くとも、また、生命保険に入ることは、完全に自由になります。


Q. でも、破産したということで、夫や公務員の子どもにまで迷惑がかかるのではないかと心配です。ご近所に知られたら世間体もよくないです。


A. 破産したことをいろんな人に知られたくないということですね。あなたが破産したとしても、そのことを知るのは、普通は債権者だけです。友だち、ご近所さん、学校、職場には、自分から告げない限り、あなたが破産したことを知らないのが普通です。

ただし、あなたが破産したことは、官報という政府の出している新聞に載ります。しかし、普通の人が、官報を読むことはありません。ですから、みんな、あなたが破産したことを知らないまま、となるわけです。

また、子供が公務員であろうが何であろうが、あなたが破産することと何の関係もありません。子供が仕事を辞めなくてはいけなくなるなんてこともありません。


Q. 私は、これからスーパーでパートをしようと思っていますが、自己破産すると、就職できなくなるのではないかと心配です。


A. 破産した場合、確かに、一定の職には就けなくなります。たとえば、保険の外交員、警備会社の警備員などです。しかし、こうした資格制限も、破産開始決定から免責許可決定が確定するまでの通常数か月の間のことです。

ですから、あなたが破産したとしても、まず、あなたがスーパーでパートをするのは全く自由ですし、仮に、保険の外交員などの破産による資格制限がある職業でも、免責許可決定が確定していさえすれば就けるわけです。


Q. 友だちから、破産したら、引越しもできなくなる、と言われました。


A. 破産した場合、確かに、住居の移転や一定期間以上の旅行について、裁判所の許可が必要になります。これは、財産を清算している最中に、破産者がどこに行ったか分からなくなるという状態が起こらないようにとの配慮から決められていることです。しかし、転居や旅行が必要な場合には、裁判所は普通許可します。また、これも破産手続きが継続している通常数か月の期間だけのことで、破産手続きが終わった後は、自由に引越しも旅行もできます。

また、あなたのように、破産した時点でほとんど財産をもっていない人は、通常、破産手続きは一瞬で終了するので、そもそも転居や旅行の制限がないということになるでしょう。