【労働問題】労災について

[ 2018.1 ] 筆者:菊田大介

 労働災害とは、労働者が労務に従事したことにより被った負傷、病気、死亡のことをいいます。

 労災が認定されると、以下の補償が受給できます。

●療養補償給付
 労災病院や、指定医療機関、薬局等で、無料で治療や薬剤の支給を受けられるもの。治療費、入院費、移送費等通常療養のために必要なものが、治癒(症状固定)まで支払われます。

●休業補償給付
 1.業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
 2.労働することができないため
 3.賃金を受けていない
 という3要件を満たす場合に、その第4日目から休業給付と休業特別支給金が支払われます。
  休業給付=(休業基礎日額の60%)×休業日数
  休業特別支給金=(休業基礎日額の20%)×休業日数

●障害補償給付
 後遺障害の等級により、年金と一時金、または一時金のみが支払われます。

●遺族補償給付
 遺族補償給付は、遺族年金と遺族一時金があります。
 遺族年金の受給資格者は、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹を言います(なお、妻以外の遺族については、被災労働者の死亡当時に一定の高齢または年少であるか、あるいは、一定の障害の状態にあることが必要です。)。

 労働災害にはこれだけの手厚い補償があるものの、その認定においてはトラブルが生じることも多くあります。

 例えば、「業務上」といえるかに関し、会社からの帰宅途中ではあるものの、スーパーによって帰宅する途中に事故にあった場合に労災で補償されるのか、会社の忘年会を終え、帰宅する途中で事故にあった場合に労災が適用されるのか、などです。
 また、そもそも「労働者」といえるかに関し、被災した方が、その会社の指示にどれほど強く拘束されていたのか、契約内容が雇用契約か請負契約か、仕事に必要な資材等は誰が準備していたのか、他の人が代わりにしても許されるような作業内容なのか等、様々な事情を考慮して認定がなされます。

 休業損害については、確定申告で過少申告をしていた労働者などであれば、実際の収入はどれほどだったのかについても争いになりやすいといえます。

 障害補償給付については、後遺障害の有無、等級について争いが生じやすく、認定に不服がある場合には、さらなる医師の診断書や、レントゲン写真等を提出して審査請求を行うなどをします。

 遺族補償給付については、遺族年金の場合と同じで、「生計を同一にしていたもの」といえるかが問題となりやすく、一緒に居住していた、おおむね一緒に居住をしていたことを写真や、メール、家計簿、年賀状、預金通帳等から立証していくことになります。

 以上のとおり、問題となる事案ごとに検討すべきポイントは一つ一つ異なります。我々は、過去の判例と比較しながら問題点を把握し、そこを克服するための証拠の収集を行っていくことになります。