プレスリリース「T氏による巨額詐欺事件について」
2021(令和3)年1月20日
弁護士 長 岡 健 太 郎
(連絡先)弁護士法人青空
尼崎あおぞら法律事務所
06-6493-6612
弁護士 吉 田 哲 也
本日、私たちは、ある男性の代理人として、兵庫県西宮市在住の女性(T氏)について、神戸地裁尼崎支部に対し、債権者として破産開始決定の申立てをしました(神戸地裁尼崎支部令和3年(フ)第27号)。
男性は、平成20年から平成26年にかけて、T氏から、コンビニ開業資金、妹の病院代、腕時計代、コンビニ開業祝い代などの名目で金銭を騙し取られました。また、男性の母親も、T氏から、男性に貸付けたという金銭の返還名目で金銭を騙し取られました。男性及びその母親の被害額は、少なくとも2400万円あまりにのぼり、これら損害の賠償を命じる判決も出されています。
男性もT氏もろうあ者であり、二人はろうあ者間の交流を通じて知合いになりました。ろうあ者間のコミュニティーは狭く限定されがちであり、また結束が固く、その中で手話のできる者は信頼が得られやすいという特徴があります。また聴覚障害は“コミュニケーション障害”“情報障害”とも呼ばれ、コミュニケーションや情報伝達の難しさがあります。これらの要因から、男性においてT氏を信頼してしまい、詐欺被害に遭っているとの認識が発展せず、また、T氏の詐欺行為が正されないまま見過ごされてきたのではないか、と考えています。
私たちは、これまで、男性及びその母親以外にも、T氏による詐欺被害に遭った方が複数おられることを直接間接に耳にしており、その被害総額は数千万円から億単位にのぼる可能性があると考えています。
この間、T氏は、金銭の返還を命じる判決に対して誠意ある対応を見せることがないだけでなく、判決後も新たな被害者から金銭を騙し取るなどしてきました。
私たちは、裁判所の監督のもと、破産管財人による厳正な調査により、T氏が騙し取った多額の金銭の流れを解明し、被害者に対する被害回復を図り、現在進行中の、あるいは、将来の新たな被害を抑止するべく、破産開始決定の申立てをしました。
当面は、破産開始決定を勝ち取り、合わせて、刑事告訴についても検討してまいりたいと考えています。
以上