車をとられたくないのですが?

筆者:吉田哲也

債務整理をしないとどうにもならないが、ローン中の車を取り上げられると仕事ができないので車は持ち続けたい、という人がいます。

ここでも、まず必要なことは現在の債務の状態の把握です。そもそも、利息制限法の再計算によっても、全く返済のめどが立たないほどの借金が残る場合には、自己破産を選択することでしょう。

その場合、車のローンだけ支払うことは「偏った返済」ですから、してはいけません。そして、ローンの支払いを停止すれば、ローン会社に車を返還しなけれ ばなりません。しかし、この人の職場は、バスや鉄道もない山の中にあり、車がなければ通勤できません。退職しても次の職場も容易に見つからない。どうする か?

まず、早期に車を返してしまい、支払い停止中にためたお金で、格安の中古車を買って急場をしのぐことが考えられます。こんにち、ただ走るだけの車なら、相当安く入手することも可能です。

また、協力してくれる親戚などに、車のローンの残額を支払ってもらい、その支払者のものとなった車に、ただで乗せてもらう、ということもありえます。

さらに、協力してくれる親戚などに、これまでどおりの分割払いをしてもらうことも考えられます。ただし、ローンを組んだ本人が破産したときには、ローン 会社は一括払い請求をすることができますので、協力者とローン会社とで話し合ってもらい、「本人が破産するが、私が払っていくことを約束するので、車は引 き揚げないでほしい。」ということをお願いして、了承を得ておく必要があります。このとき、こういうことを許すかどうかの選択権はローン会社にあります。 要するに、ローン会社が「NO」と言えばそれまでです。